豊泉会朝礼挨拶

2020年度

10月 介護医療院

皆さんおはようございます。いよいよ本日より2階西病棟が介護医療院へ転換します。これは繰り返しお話ししてきたように、病院の都合・理由によるものではなく国の方針に伴うものです。ご承知のように介護療養病棟は廃止が決まっています。介護医療院の新設は、大きくは医療機関の機能分化、効率化、在宅医療の充実の方向性に従ったものです。従って介護医療院は在宅系の施設ということになります。このために患者さんのプライバシーの保護の目的でパーテーションをすでに設置しました。今後は運営に様々な工夫が必要になってくると思います。なにより入院中の患者さんやご家族へ丁寧なご説明をよろしくお願いします。

さて、今月はうれしいお知らせがあります。新任の医師のご紹介です。本日は定期の休日のこともあり参加出来ませんでしたが、10月1日より中島美智先生が我々の病院に加わって下さることになりました。ご出身は筑後地区ですが、当時の大分医科大学、現在の大分大学医学部のご出身です。大分大学卒業後は関東地方の脳神経外科に入局されておられたのですが、十数年前に湯布院厚生年金病院へ赴任されました。当時私も湯布院勤務で数年間一緒にお仕事をさせていただきました。このご縁もあり入職していただけることになりました。なにとぞよろしくお願いします。

本日はあと少しだけ、コーチングの重要性、難しさについてお話しします。昨年度豊泉会は例年に比べ退職者をかなり減らすことが出来ましたが、我が国では現在、病院や介護施設はどの施設も入退職が数多い現状があります。、その中で豊泉会はいままで4月の新人入職は途絶え、年間を通じて退職者が出た時の経験者の入職に依存してきました。いよいよ来年4月から天神会となるわけですが、来年度はいくつかの部門で新人の入職を考えています。現在も新入職のスタッフへの指導にはご苦労が多いことと思いますが、指導・コーチングは本来大変難しい、技術を要する領域だと私は考えています。「もしもうさぎにコーチがいたら」という伊藤守さんの本があります。伊藤氏はコーチングに関していくつもの本を書いておられますが『うさぎと亀』のウサギにコーチがいたら競争に勝つことが出来ただろうかというのがこの本のテーマです。皆さんこの『うさぎと亀』の物語はよくご存じの通りで、普通に走ればウサギが勝つに決まっているのに、油断して昼寝をしたためにウサギが負けてしまう。油断大敵という教訓に使われるわけですが、そもそもコーチを受けることに対して積極的でないだろうウサギに、どのようなコーチングが有効だろうかというのがこの本のテーマです。ウサギのような性格のスタッフと会話のキャッチボールが出来るような関係を作るには、どのような工夫が必要だろうかということが書いてあります。少し短い時間では難しい説明になりますが、4つの基本、聞いて聞き分ける能力をもつこと、その中から質問を創り出すこと、要望して承認すること、この4つのプロセス、その能力をコーチは高めていく必要があります。あくまでも相手の持っている潜在的な才能と能力を引き出すのがコーチの役割なのです。今月から年度末へかけて人の異動が数多く予定されています。来年4月の天神会への移行に向けて皆で力を併せて頑張っていきましょう。よろしくお願いいたします。

9月 【キーワードは「リハビリテーション」】

皆さんおはようございます。依然として新型コロナ感染に気の抜けない毎日ですが、8月から3階東の回復期リハ病棟の入院基本料を3から2へひき上げました。入院料2は重症の患者さんが3割以上入院していること、そして重症の患者さんの3割以上が充分に回復していることが求められます。これまで私たちの病院はこうした厳しい条件を十分に果たしてきましたので、引き上げることにしました。現場のスタッフは今まで通りの診療を継続していただくことで問題はありません。また、10月から2西病棟を介護医療院へ移行します。これは行政からの要請に伴うものです。診療面で工夫を要する課題もありますから、具体的な解決策の検討に入ります。介護医療院は在宅系施設の扱いになります。

さて、今月で今年度の年の半分を終えることになります。今年の豊泉会、丸山病院の目標はともにキーワードとして【リハビリテーション】をあげさせていただきました。いまさらですが、リハビリテーションは訓練としての狭い意味でのリハビリテーションだけではなく、広い意味・理念としてのリハビリテーション、障害をもったかたの生活をどのようにして元気になっていただくかということを職員全てで目指す事が重要だと考えています。その意味でこれも繰り返し伝えさせていただいてきたように、患者さんをICF(国際生活機能分類)に従ってその生活を含めた全体像としてとらえていくことが極めて重要になります。チームとしてかかわるスタッフは、リハスタッフ・看護・介護スタッフは勿論の事、事務部門を含めてすべての職員が患者さんの課題を共有し、患者さんの活動をいかに向上させていくかに取り組むことが必要です。その中で、注意していただきたいことがあります。リハスタッフの《出来る活動》の向上への取り組みが、病棟での《している活動》と連携していることは勿論ですが、その患者さんが退院された後の目指すべき《する活動》をチームがきちんと把握してリハビリテーションを展開することが重要です。認知症の患者さんが入院中ナースコールをキチンと押すことが出来るようになって、排泄の管理が出来るようになっても、介助者の限られた自宅復帰では現実的な活動の目標とはいえません。家族が排泄のたびに毎日起こされるのは現実的ではないからです。しかし、スタッフのそろった施設へ患者さんが帰られるのであれば、目標達成と考えることもできます。繰り返しますが患者さんの退院後の全体像をスタッフが出来るだけ早い時期に共有して、目標設定を明確にしましょう。

また、療養病棟ではADL(Activity of Daily Life:日常生活機能)の自立を目指す事が現実的でないことも多いと思います。しかし、リハビリテーションはADLの自立は勿論ですが、QOL(Quality Of Life:生活の質)の向上を目指します。私の療養病棟の患者さんは脳梗塞後遺症のため入院時は意識レベルの低下した栄養不良の状態でした。主治医として出来ることは限られていましたが、最近では簡単なコミュニケーションが可能となってきました。ご家族が対面することが可能となればご本人・御家族にとっても意味は大きいと思います。まさに、看護・介護・栄養課を中心としたチームが日々のQOLを安定したものにすることで、達成できたことと考えています。決してあきらめない医療・介護・福祉を展開していくことで、さらに素晴らしい組織になることが出来ると信じています。力を併せて頑張っていきましょう。

7月 「介護医療院」

おはようございます。本日も密を避けて、朝礼の参加者は今月昇格や部署移動をされる職員の方達と幹部職員の皆さんということにしました。さて、ご存知の方も多いと思いますが、来年2021年4月に豊泉会は天神会と合流する予定で準備を始めました。豊泉会の施設はすべて天神会所属となります。丸山病院については名称の変更を考えています。

ところで行政からの指摘を受け、急いで取り組まないといけない課題が明らかとなりました。国は「介護療養病床」の新設を認めていません。天神会と合流する前に現在介護療養病棟である「二階西病棟」を介護医療院とすることが求められたのです。

人員の配置など我々が取り組む内容に大きな変化は生まれませんが、制度的に大きな変化が二つ生まれます。ひとつめは、介護医療院は在宅系施設になるということです。このため個人のプライバシーを守る必要からお部屋のなかにパーテーションを置く必要があります。二つ目は、介護医療院は病院ではない為、丸山病院の病床が145床になるということです。少しあわただしいのですが、急いで準備をすすめ、10月から介護医療院を開設したいと考えています。職員の配置、医師の配置、宿直体制、施設の機器の利用などすべて今まで通りですが、入院の方そしてご家族へのご説明は必要になります。是非皆さん力を併せて取り組みを開始してください。また、8月から回復期病棟の入院基本料を基本料3から2へ引き上げる予定です。これも診療やリハビリテーションの内容に大きな変化をもたらすものではありませんが、看護師さんの人員配置は増員となります。今まで以上に患者さんに寄り添う看護・介護が可能になるのではないかと期待しています。

 さて、天神会との合流は私にとって感慨深いものがあります。私は12年前に天神会に入職しました。当時の天神会は、超急性期・急性期医療を展開する新古賀病院を中心として、急性期・回復期医療に取り組む古賀病院21、健診と透析療法を中心とした新古賀クリニックの3つの医療施設を持つのみの組織でした。

しかし、まず2012年に高齢化した透析患者さんの生活を支えることを目指し、入院透析医療が可能となる施設「野伏間クリニック」を開設します。その後は主にご高齢の方の生活を支える医療・介護施設を次々に開設していきました。2013年には住宅型老人ホーム「こがケアアベニュー宮ノ陣」、2015年には老人保健施設「こが21」といった施設です。勿論こうした入所系の施設とともに、通所系の介護施設や訪問系の施設も展開していきました。現在老人ホームは5施設開設しています。また兄弟グループの社会福祉法人若草会が2015年に特別養護老人ホーム「わかくさ」を新古賀病院に隣接した場所に開設しました。

急性期医療・回復期医療のみでは、ご高齢の方を元気に生活の場所へお戻しするという目的の達成が困難な現状について、繰り返しこの「朝礼挨拶」で述べてきました。今説明してきた天神会の施設の中で、この目的を達成するために唯一不足していたものがあります。ご高齢の方のための、安定した慢性期(生活の時期)の入院施設(病院)です。つまり丸山病院が天神会に合流することで、ご高齢の方を支えるすべての医療・介護・福祉施設がそろい、社会医療法人天神会としての複合体が完成します。この中で私たち丸山病院の使命は、どの慢性期病院にも負けない質の高い高齢者医療を展開する事だと考えています。質の高い医療の展開のためには病院スタッフ全員がリハビリテーション理念を仕事の中心に据えていくことが重要です。リハビリテーション理念とはご高齢の方、障がいを持たれた方の全人間的復権(=人を大切にする医療・介護)です。これは、天神会の理念「人々の豊かな生涯を支援する医療・介護」そのものだと思います。

皆で共通の目標に向けて力を合わせて頑張っていきましょう。

6月 「リハビリテーション理念」

おはようございます。新型コロナ感染の影響で今までのような全体朝礼は難しくなりました。
今日は6月1日ですが、年度が替わってから皆さんの前でお話しする機会がなかったので、幹部の皆さんに病院の目指す方向性について、改めて新しい年度の朝礼としてお話ししたいと思います。

これから少なくとも20年間、我が国は高齢者が増加していきます。急性期の医療はもちろん重要ですが、同様に高齢者への質の高い医療・介護が求められていくと思います。質の高い医療・介護を追求するキーワードとしてリハビリテーション理念を考えていますので少しご説明します。
私は1997年に湯布院厚生年金病院に赴任しました。当時リハビリテーション医療は一般病棟の在院日数の縛りの中で行われており、病院運営の面で非常に苦労をしました。一方患者さんにとっては、脳卒中などの病名がつけば、入院してのリハビリテーションを受け続けることが可能でした。しかし、受けられるリハビリ訓練の時間には制限があり、病院側の在院日数の問題から一カ所の病院に長く入院を継続することも困難でした。患者さんの中には「リハビリ人生」と呼ばれる方が多くおられました。四季折々、全国のいろんな温泉リハビリテーション病院を転々としておられ、入院生活が人生の目的のようでした。

さて、リハビリテーション医療にとって画期的であったのは2000年の回復期リハビリテーション病棟の新設でした。医療の中でのリハビリテーションの必要性が診療報酬制度上、明確に位置付けられたのです。
「リハビリ人生」はおわりました。2000年4月、回復期リハ病棟と同時に始まったのが介護保険制度です。
つまり、回復期に集中的にリハビリテーション訓練を行うことで高齢者の自立を出来る限り追及することが求められるようになったわけです。私にとって、この時期にリハビリテーション医療の真っただ中で仕事ができたことは、非常に貴重な経験となりました。この経験のなかでリハビリテーション理念の重要性や地域リハ、目標指向的アプローチを学ぶことが出来ました。
湯布院に赴任する前、私のリハビリテーションに対する理解は機能回復訓練そのものだったと思います。
皆さんは鶴見和子さんをご存知ですか?鶴見さんは有名な歌人ですが重度の脳出血となられました。その後の人生に希望を持てなくなっておられたのですが、上田敏先生、大川弥生先生などリハビリテーション医と出会われることによって、障害を持った後の人生を再び豊かに生きていく力を与えられます。鶴見さんはリハビリテーションを「回生」と定義しました。残念ながら現在の医学医療の力では、初発の脳卒中では麻痺は50%残存し、上肢に至っては実用手まで回復するのは20%程度です。しかし障害は身体機能の一部であって、積極的な社会生活を目指していくことは可能です。リセットのきかない一回きりの人生を出来るだけ豊かなものにしていくこと、これがリハビリテーション理念です。医学の進歩で遺伝子・分子レベルの治療が可能になりました。勿論、急性期の医療、最先端の医療技術の進歩への追及は重要です。しかし、医療が目指す最終的な目的は、患者さんが住み慣れた、地域・場所で、家族や友人たちとともに元気に生活していくことです。

リハ訓練室で「出来るADL」を最大限追及します。そしてそれが病棟での「しているADL」になって実行されているかが重要となります。そしてリハスタッフと病棟スタッフのチームが、患者さんの目指す「将来のするADL」、目標のADLを常に共有し、連携して取り組みを継続することが最終的に重要になります。これが【目標指向的アプローチ】です。
丸山病院の病棟でさらに実感するのは対象とする患者さんがご高齢ですから、虚弱なかたが圧倒的に多いということです。チームの一員としての栄養課の力が非常に重要だと考えています。最近取り組みが始まった「地域包括ケア」の原型は「地域リハ活動」ですが、リハビリテーションの世界では数十年前から取り組まれてきました。様々な社会的資源の利用など当然専門性の高い医療ソーシャルワーカー(MSW)の力が重要となります。

それぞれの専門職がリハビリテーション理念を共有し、専門性を生かしながらチームとして患者さんご家族のために質の高い医療・介護を展開していけるように、努力を続けていきましょう。よろしくお願いします。

5月 「新型コロナ感染症パンデミック」

2020年4月30日時点で、新型コロナウイルス感染者は世界中では300万人、我が国では1.4万人となっています。昨年末から始まったこのパンデミックで世界の有り様が変わってしまったかのようです。国を跨いだ人の往来が停止し、繁華街からは人影が消えました。恐らく有効なワクチン接種が始まらない限り感染の持続を停止することは出来ないのでしょう。

私たちは2002年にSARS(Severe acute respiratory syndrome: 重症急性呼吸器症候群)、2009年には新型インフルエンザ(H1N1型)そして2012年にはMERS(Middle East respiratory syndrome:中東呼吸器症候群)といったウイルス感染症を経験してきました。SARSやMERSはその致死率の高さは脅威でしたが、あとで述べるウイルス感染の性格上、逆に世界中を巻き込む感染症とはなりませんでした。新型インフルエンザは、感染は拡大しましたが、我が国ではその致死率の低さから今回ほどの大きな脅威とはなりませんでした。新型コロナウイルスについては現時点では不明な点が多いのですが、潜伏期間が長いこと、そして無症状感染者の多さが感染拡大を生むこと、閉ざされた空間での感染力の強さ、有症状者の中には現代の医療を持っても救命できない重症のウイルス性(間質性)肺炎を惹起することもまれでないことなど、実に厄介なウイルスであることは解ってきました。

今回のパンデミックの拡がりの大きさや重症者が多数生まれてしまっていることなどは、1918年から1920年にかけてのスペイン風邪のパンデミックに類似しています。1918年春から3波にわたって世界中を襲ったスペイン風邪では5億人以上がこのインフルエンザに罹患し(当時の世界の人口は17億人)、2000~4000万人が死亡したとされています。スペイン風邪との呼称になっていますが、1918年は第一次世界大戦の末期であり、実は米・英・独の軍隊の中から感染が拡まっていったことが明らかとなっています。そして現代のように世界がグローバル化していないため、感染は打ち寄せる波のように繰り返し、そして世界各地を襲っていきました。

さて、ウイルス感染が話題になるたびに私は「生物と無生物の間」という福岡伸一氏(私が愛読する作家のひとりです)の著書を思い出します。少し引用してみましょう。

「ウイルスが自己を複製する様相はまさしくエイリアンさながらである。ウイルスは単独では何もできない。ウイルスは細胞に寄生することによってのみ複製する。
~中略~
宿主細胞は何も知らず、その外来DNA(コロナウイルスであればRNA)を自分の一部だと勘違いして複製を行う一方、DNA(RNA)情報をもとにせっせとウイルスの部材を作り出す。細胞内でそれらが再構成されて次々とウイルスが生産される」

つまり、ウイルスは自らを増やすことが出来るという“生物”の性質は持っていますが、それはあくまでも寄生する宿主の存在が必要だというこです。最後に福岡氏はウイルスを生物とは定義しないという結論に到達します。

スペイン風邪の流行期、時の政府が呼びかけた対策は「マスク着用」、「うがい」、「室内の換気や掃除」、「患者の隔離」であり、「密集空間の危険性の指摘」も現在と一緒でした。つまり、100年の時間を経て、抗ウイルス薬の開発(1918年にはそもそもウイルスの存在自体が認識されていませんでした)や予防接種などの進歩はありますが、基本的な対策は変わっていないのです。ウイルスは感染を繰り返し、次々に感染者の宿主細胞の中で増殖を続けることによってのみ生き延びていきます。SARSやMERSではその致死率の高さから逆に感染の連鎖が生まれにくく世界的なパンデミックにはなりませんでした。感染の連鎖を断ち切るときウイルスは自己複製の場所を失い、消失します。ウイルスは自らの複製、生存のため、感染者から次の宿主(非感染者)へ感染する機会を狙っています。出来るだけ人と人の接触を避けることの意味と重要性を理解し、そのうえで医療や介護の現場にいることを改めて認識して行動していくことを求めたいと思います。

2020年 4月  新年度を迎えるにあたって

皆さんおはようございます。今日は4月1日、新年度の始まりの朝礼の予定でした。しかし、皆さんご存知のように新型コロナウイルス感染は福岡県、そしてこの筑後地区においてもますます予断を許さない状況になってきました。従って集団で集まっての朝礼は中止とします。このホームページでの内容を各部門で確認をお願いします。今回は新しい年度に向けて、今さらですがそれぞれの部門・職場で、目標を持って仕事を続けていただきたいというお話をします。

昨年度は施設・機器の改修や電子カルテの導入など病院・施設の設備の整備に取り組んできました。ある程度設備は整ってきたと思いますから、今年度はそれぞれの部門・職場での目標を明確にしていく中で、組織全体を活性化していきたいと考えています。もう一度、私たち豊泉会の目標を明確にしましょう。これまでもこの朝礼の中でお話ししてきたように、超高齢化社会を迎えた我が国の医療は、「治す医療」だけでは患者さんを元気にしていくことが困難になってきました。よく言われるように高齢者への医療・介護は「治し支える」ことが重要となります。まさに私たち豊泉会の理念「人間大切」は、患者さん・利用者さんの人生の終盤の時期を全力で「支え」、少しでも元気になっていただくよう努力を続けていくことだと考えます。先週急性期の病院から転院してきた患者さんは、認知症のため経口摂取が困難と判断され絶食の状態でした。認知症が高度と判断されたのは、病気の状態にも伴うものと思われ、転院されてきた時点では嚥下機能自体は比較的保たれていました。可能になるかどうかは分かりませんが、もう一度お食事が摂れるよう最大限の努力をチームで行っています。私たちの判断が、86歳のこの患者さんにとって最後の判断になると思われるからです。ご高齢の患者さんが、少しでも元気な状態に快復していただけるよう努力を継続すること、あるいは快適に過ごしていただけるよう環境を整備していくことが私たちの使命ですが、このことは我が国の医療・介護・福祉にとって今後ますます重要になっていく課題だと確信しています。

さて、この組織全体の目標に向かって、すべての部門は出来るだけ小さな単位で目標を定めてください。例えば看護部であれば看護部全体の目標に沿ってそれぞれの病棟での目標、そして病棟内であれば例えば夜勤のチームの取り組み、介護部門の取り組みなどチーム単位で目標を定めてください。そしてその目標は数字を含めた具体的な目標としてください。例えばですが、「積極的に取り組む」といった評価が主観的判断になりがちな目標ではなく、「褥瘡発生率を何パーセント以下にする」といった数字を含んだ目標を立ててください。具体的な数字の目標を立てれば、それが達成できなかった時には目標に向かって考えた手段が実情に即していなかったと思われ、再度検討を行うことが出来ます。検討のうえで、目標を達成するための新しい取り組みを考えていくことが必要となっていきます。これがPDCAの考え方、目標(P=plan)を明確にし、行動(D=do)に移し、その結果を検討(C=check)したうえで新しい行動を計画していく(A=action)という、組織を活性化させていく方法論です。

私も私の立場で皆さんが仕事に目標をもち、働き甲斐と誇りを持って仕事が継続できるように努力を続けていきます。今年度もよろしくお願いします。